翻訳アメコミ(主にマーベル)のレビュー・感想を置くところ。オタクが奇妙なテンションで推しを語ったりするよ! ていうかそれしかしてない! 絶版モノも扱ってます。ネタバレがめっちゃあるのでお気をつけください。
この「キャプテン・アメリカ」第2巻は、ずいぶんぜいたくな内容です。
まず、凝りに凝った画面構成、しゃれたレイアウトを得意とする当時21際のコミック・ブック界の異端児、ジム・ステランコが描いたエピソードが、すべて収録されています。それに、もちろん、キャップの生みの親で、ステランコが尊敬してやまず、おおいに影響を受けた大先輩、ジャック・カービィによる1編、そして、ジョン・ロミータ、ジョン・ブシーマ、ジーン・コーランと、そうそうたる画家の手によるエピソードがつづくのですから、さながら、マーベル主力画家のオール・スターが勢揃いした観があります。
この「キャプテン・アメリカ」第2巻は、ジム・ステランコの描いたストーリーから始まります。
これは、アメリカ版第110号に相当しますが、そのあとステランコは、第111号および113号と全部で3号分の「キャプテン・アメリカ」を描きました。
そして、それが、彼が手がけたキャップのシリーズのすべてなのですが、その3号分は、すべてこの第2巻のなかに収録されています。
なお内容では、宿敵レッド・スカルとの対決がつづきますが、私には、敵同士でありながら、キャプテン・アメリカとレッド・スカルのふたりは、ふと、兄弟のように似ていると思う瞬間があります。
どちらも、第二次世界大戦からの生き残りで、かたや、ヒトラーの遺志を継いで、ナチス再興の執念に燃え、かたや、そうはさせじと星条旗の理想のもとに対決する。
どちらも、同じ大戦からの過去をひきずっているあたり、ちょっと時代錯誤的だし、たがいにむきになるほどおかしい……。
このふたりは、たがいにののしりあいながら、おたがいに過去にとりつかれた存在として、こころの底では同情しあっているのではないかという気さえするのです。
キャップと彼との対決は、兄弟げんかみたいなものかもしれません。
(引用元:光文社 マーベルコミックス キャプテン・アメリカ2)
本書の最後に収めてあるキャップ誕生のエピソードからもおわかりのように、ステーブ・ロジャース青年は、天才科学者がつくった特殊な血清のおかげで、驚くべき強じんな肉体の持ち主として再生するのだが、科学者がナチスのスパイに殺され、血清は二度とつくれなくなり、結局彼ひとりが、最初にして最後のスーパー兵士ということになってしまう。
なお、タイムリィ社版の「キャプテン・アメリカ」は、1941年から1949年まで続き、中断された。そしてキャップは1964年発行のマーベル版「アベンジャーズ」第4号のなかで氷づめになって海中を漂っていたのを、アベンジャーズの潜水艦に発見され、現代に蘇ったことになっているが、じっさいには彼が仮死状態だったころの1954年にもコミックブックとなって活躍している。
スティーブ・ロジャースにとって、己が時代から切り離された男として生きる最大の苦しみは、親友を失った男として生きることだった。
亡くなった相棒のことを嘆くスティーブ・ロジャーズは、二人の友情がかつてない試練を浴びたある夜の出来事を思い返していた。海の底から険しい頂きまで、ハウリング・コマンドー部隊と共に命がけの行軍を行った夜のことを。それは、炎と煙と雪に覆われ、恐るべき敵と驚くべき味方とが姿を見せた戦いだった。 そしてその旅路の果てには、レッドスカルが待ちかまえていた。
彼こそ、キャップたち全員が立ち向かうすべての悪を象徴する、残虐にして恐るべき敵であった……。
長い歴史を持つ“キャプテン・アメリカ”のストーリーの中でも、秀作と謳われた『ウィンター・ソルジャー』。
第二次世界大戦末期に死亡したと思われていたキャプテン・アメリカの相棒バッキーが、暗殺者“ウィンター・ソルジャー”としてよみがえった?!
全米を揺るがせた“9.11”アメリカ同時多発テロ事件。
自由の理想が砕かれたこの時に、自由の番人たるキャプテン・アメリカに何ができるのか?
9.11直後のテロの時代を舞台に、究極のアメリカンヒーローが祖国の目指すべき新たな正義の意義を問う問題作。
2001年9月11日、ニューヨーク。 消防士、警察官、レスキュー隊が人々のヒーローとなった―ワールドトレードセンターの崩壊に際し、自らの命を危険に晒し て。
恐ろしい事件ではあったが、驚愕から覚めた多くの人が、瓦礫の下の生存者を探すべく、我が身を省みない献身を見せた。
しかし半年が経つと、テロへの恐怖をかつてないほどに募らせたアメリカ国民はヒーローを渇望するようになった。
ためらいなく正義を遂行する兵士―合衆国最高の戦士を。
それこそが、スティーブ・ロジャースであり、星条旗を纏ったスーパーソルジャー、キャプテン・アメリカなのだ。
センタービルの小さな町を、アル-タリクを名乗るテロリストが占拠。
多くの町民を人質に立て籠もった。
救助は不可能に思えた―キャプテン・アメリカを除けば。
彼の任務は無垢なる人質の命を守り、テロリストを打ち倒す事。
多くの命を犠牲にした非道なテロリストに対し、スティーブ・ロジャースは、これ以上、命を奪わせはしないと、固く心に誓うのだが……。