翻訳アメコミ(主にマーベル)のレビュー・感想を置くところ。オタクが奇妙なテンションで推しを語ったりするよ! ていうかそれしかしてない! 絶版モノも扱ってます。ネタバレがめっちゃあるのでお気をつけください。
メガネをかけ、教科書をこわきにかかえたしょぼくれた高校生の少年が、1962年、アメリカのコミック・ブックのなかに、初めて姿を見せたとき(第1話「スパイダーマンの誕生」)彼が後に、最も人気のあるマンガの主人公になるとは、いったいだれが予想しただろうか。
彼は、それまでのヒーローたちと、すべてが正反対だった。だいたい、クモというのは嫌われもので、はじめ、スパイダーマンの姿を見た者は、彼のことを悪役だと思ったのではないだろうか。
だが、読んでいくうちに、この内気な少年から青年に変わる過程にある若者の、人間的な魅力にひきつけられてしまうことだろう。
悩みだらけの彼だが、その笑顔はさわやかで、あなたもきっと、この男のことを、そのキャッチフレーズどおり<あなたの友情あふれる隣人>だと思うようになるにちがいない。
メガネをかけ、教科書をこわきにかかえたしょぼくれた高校生の少年が、1962年、アメリカのコミック・ブックのなかに、初めて姿を見せたとき(第1話「スパイダーマンの誕生」)彼が後に、最も人気のあるマンガの主人公になるとは、いったいだれが予想しただろうか。
彼は、それまでのヒーローたちと、すべてが正反対だった。だいたい、クモというのは嫌われもので、はじめ、スパイダーマンの姿を見た者は、彼のことを悪役だと思ったのではないだろうか。
だが、読んでいくうちに、この内気な少年から青年に変わる過程にある若者の、人間的な魅力にひきつけられてしまうことだろう。
悩みだらけの彼だが、その笑顔はさわやかで、あなたもきっと、この男のことを、そのキャッチフレーズどおり<あなたの友情あふれる隣人>だと思うようになるにちがいない。
この「キャプテン・アメリカ」第4巻では、これまでに明らかにされていなかった悪役たちの秘密を、私たちは知ることができます。
まず、日本版に新登場の悪役として、バロン・ストラッカーが出てきますが、彼も、ヒトラー時代の残党です。
もうひとつ注目すべきは、AIMの指導者であるモードックのオリジン(誕生のいきさつ)がこの巻で明らかにされたことです。
また、やはりこの巻に姿を見せる地下帝国の主、モウルマンにも、あわれみを感じてしまいます。モウルマンは、そもそもは、ファンタスティック・フォーの悪役として登場したのですが、ここで詳しく、その生いたちが描かれているのも、ファンとしては見逃せません。
それから、この巻ではさらに、キャプテン・アメリカとファルコンの関係に、重要な事態が起こります。
キャプテン・アメリカは、またもや悩んでいます。特に、この第三巻では、悩みかたが、ますますひどくなっていくようで、これでは、とてもスーパーヒーローは務まらないのではないかと心配になってしまうほどですが、これには理由があります。
第三巻におさめられたエピソードは、本国版の1968~9年に描かれたものですが、いまからちょうど10年まえのアメリカは、まさに混乱の時期でした。
60年代の終わりは、ベトナム戦争への批判がたかまり、それとともに、学生たちが大学当局に疑問をなげかけ、学園騒動がひろがっていきます。
ケネディ大統領につづいて、マルティン・ルサー・キング師の暗殺……そんな、アメリカの屋台骨をゆさぶるような事件のなかで、キャプテン・アメリカという、過去からよみがえった英雄は、すっかりとまどってしまうのです。
いま読み返してみると、これも、ひとつの時代の記録になっていることがよくわかります。マンガだけに、アメリカ人の気持ちが、正直にあらわれているという気もします。
しかし、この悩みがキャップを生きさせているわけでもありますから、シールドのニック・フューリーがせせらわらおうと、恋人のシャロンがあいそをつかせようと、キャプテン・アメリカの<悩み節>は、まだしばらくはつづきそうですね。
この「キャプテン・アメリカ」第2巻は、ずいぶんぜいたくな内容です。
まず、凝りに凝った画面構成、しゃれたレイアウトを得意とする当時21際のコミック・ブック界の異端児、ジム・ステランコが描いたエピソードが、すべて収録されています。それに、もちろん、キャップの生みの親で、ステランコが尊敬してやまず、おおいに影響を受けた大先輩、ジャック・カービィによる1編、そして、ジョン・ロミータ、ジョン・ブシーマ、ジーン・コーランと、そうそうたる画家の手によるエピソードがつづくのですから、さながら、マーベル主力画家のオール・スターが勢揃いした観があります。
この「キャプテン・アメリカ」第2巻は、ジム・ステランコの描いたストーリーから始まります。
これは、アメリカ版第110号に相当しますが、そのあとステランコは、第111号および113号と全部で3号分の「キャプテン・アメリカ」を描きました。
そして、それが、彼が手がけたキャップのシリーズのすべてなのですが、その3号分は、すべてこの第2巻のなかに収録されています。
なお内容では、宿敵レッド・スカルとの対決がつづきますが、私には、敵同士でありながら、キャプテン・アメリカとレッド・スカルのふたりは、ふと、兄弟のように似ていると思う瞬間があります。
どちらも、第二次世界大戦からの生き残りで、かたや、ヒトラーの遺志を継いで、ナチス再興の執念に燃え、かたや、そうはさせじと星条旗の理想のもとに対決する。
どちらも、同じ大戦からの過去をひきずっているあたり、ちょっと時代錯誤的だし、たがいにむきになるほどおかしい……。
このふたりは、たがいにののしりあいながら、おたがいに過去にとりつかれた存在として、こころの底では同情しあっているのではないかという気さえするのです。
キャップと彼との対決は、兄弟げんかみたいなものかもしれません。
(引用元:光文社 マーベルコミックス キャプテン・アメリカ2)