カート・ビュシーク (著), アレックス・ロス (イラスト)
マーベルズあらすじ引用(引用元:上記リンクページより)
太平洋戦争前夜、野望に燃えた若者達がいた。カメラマンを目指すフィル・シェルダンもその一人だった。
しかし、突如現れはじめた超人類達の存在が、彼の人生に大きな影響を及ぼしていく。
その人智を超えた力に驚愕し、脅威と戦う姿に熱狂し、やがて人類を脅かす可能性に戦慄する……。
我々を遥かに超えた力を持つ存在“マーベルズ"は、人類に何をもたらすのか!?
リアリスティックな視点が冴えるカート・ビュシークの脚本と、全てのコマが芸術の域にまで達したアレックス・ロスのアートが生み出した至高の傑作を見よ!!
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■感想完全にジャケ買いしたので、「マーベルヒーローの辞典みたいなやつかな?」とか勘違いして買ったなんて言えない……。(震え)
と、きっかけは勘違いだったのですが、これは良い勘違いでした。読んでみたらすごい面白かった。なんか、奥が深い……(語彙)。
はじめてのヒーロー誕生から順に、ヒーローの活躍、それを受けての一般市民の反応を、同じく一般市民の視点から描いた作品。なんといいますか……こう、ヒーローものの醍醐味のひとつとして、「敵がでてきたー! かっこいい戦闘シーン!(バーン!) ときどき負けたりもするけど最終的には悪者をやっつけたカッコイー!」みたいなイメージがあるじゃないですか。これぞヒーローコミック! みたいな。
そーゆーのとはわりと無縁の世界です。主人公一般人なんで。
ヒーローコミックのなかには、ヒーローとして活躍するうえでの葛藤みたいなものを描かれているものも多いですが、(そしてそれも醍醐味のひとつ)この作品は、まったく外側の人間がその葛藤をしている感じで。
ヒーローの活躍により沸き立つ人々もいれば、戦闘によって街が破壊されているのはヒーローのせいだと悪く言う人もいる。時代の流れによっても受け取られ方は様々で。
それらの声を聞いて心を悩ませる主人公ですけど、結局のところ彼も外野でしかなく、どうすることもできない。
自分の人生のほうが大事なはずである。市民として、普通の人生を全うすべきである。だけれども、ヒーロー達を追わずにはいられない。
市民ならではの葛藤、というのでしょうか。
マーベル世界の大きな流れを、市民の生活を通して知れる大変奥深い年代史。読み終わったあと、「ほあぁ……」とため息が出ます。
ひとつのキャラクターというより、世界観について理解を深めたい方におすすめの一冊です。