ブライアン・マイケル・ベンディス (著), オリビエ・コワペル (イラスト), ジム・チェン (イラスト), デビッド・マルケス (イラスト)
シビル・ウォーⅡあらすじ引用(引用元:上記リンクのアマゾンページより)
第二次内戦勃発!
マーベルユニバースに激震をもたらした超大型クロスオーバーがついに登場!
未来予知能力を得たインヒューマンのユリシーズ・カイン。
その力を用い、犯罪を未然に防ごうとするキャプテン・マーベルだったが、アイアンマンはまだ起きていない罪を罰する事に反対する。
しかしある悲劇が起きた事で、キャプテン・マーベルとアイアンマンの対立は決定的なものとなる。
かつて勃発したヒーロー達が二手に分かれて争ったシビル・ウォー(内戦)、正義を志す者達の2度目の全面戦争が今始まろうとしている――
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■感想これが、シビルウォー2!前回の
シビル・ウォーから10年。2です。2がキタ!
「どちらが善でどちらが悪か」と割り切れないところで衝突するシビル・ウォー。
今回は
「良くない未来が来ることが分かっていたら、未然に防ぐべきかどうか」がテーマ。
シークレット・ウォーズ関連でのブラックボルトの動きによりテリジェンクリスタルが爆発し、未来が視えるインヒューマンが誕生したことによりおこる内輪もめです。
前回はアイアンマンVSキャップでしたが、今回はアイアンマンVSキャプテン・マーベル。
序盤でトニーがキャップに向かって言う
「きみと倫理を論じるつもりは無い。喧嘩別れが関の山だ」ってセリフが印象的。うん、そのとおりですね。前回のシビル・ウォーも大変でしたからね……。
「まだ犯罪をおかしていない(高確率で犯す可能性がある)人をさばくべきかどうか。敵とみなすかどうか」むずかしい問題です。介入したらその時点で未来は変わってしまいますが、それで良い未来になるかどうかまでは正直わかりません。さらに、もしも「仲間が敵だ」と言われたら? 簡単にその未来を信じていいのか? 「悪だ」と言われた当人の意思など倫理的な問題は? トニーはこれらを危惧して反対派。
一方、以前から「いつ取り返しがつかない事態になるか分からない。恐ろしいことは、起こる前にどうにかしたい」と悩んでいたキャロルが賛成派で衝突します。
そしてキャロルが「未然に防ぐ」を実行しようとした結果、
トニーにとってもキャロルにとっても大切であったある人物が死んでしまいます。トニーの危惧した「良い未来になるかどうかまでは正直わからない(より悪い何かがおこる)」が起こってしまいました。
これでトニーはげきおこ。
しかしここで怒りにまかせてユリシーズ(未来視のインヒューマン)に暴力的制裁を加えるではなく、「徹底的に検査する」という発想になるトニーほんまシコ……。そーゆーとこ根っから科学者すぎて好き……。
あくまで彼の論点は「どうしてこうなったのか誰も理解してない。誰が死んでもおかしくなかったのに」なところがも~~!!
さらには「ハルクになって暴れる」未来が幻視され、いろいろあってバナーも死ぬ。
前回、頑固に法を推進し周囲を顧みなかった役割だったのから一転、今回のトニーは非常にわかりやすく仲間想いに描かれています。仲間が死ぬと涙を流す。
「ここ数年、色々あって学んだんだ」「前に倫理観の違いが問題になった時はスティーブと泥沼の戦いになった。二度と繰り返すつもりはない。相手が誰でもお断りだ」このセリフが彼の変化を物語っていて。
そして困ったトニーが頼る相手がキャップ!
前回! 泥沼の! 戦いを! した相手に! 助力を乞う!!! 10年越しのこの熱い展開。
さらに「マイルスがキャップを殺す」幻視があらわれて。マイルスをどうするか、となったときに、殺される(かもしれない)キャップ本人が「マイルスの意思を尊重しよう」と、彼を守る方向に動く。それを見て、キャロルに味方していた人の多くが一斉に彼女に背を向けてしまうわけですが、その際のティチャラのセリフ「キャップについていれば自分の正義を疑うことはない」というのがかっこいい~!
前回のシビル・ウォーでの出来事が、今回の登場人物達の行動や心情に大きく影響を残しているのが垣間見れて、
「ただコンセプトが似た話」ではなく「まさしく2!(続編)」という感じです。
ラストは「えっ!?」って予想だにしないオチもベリグッド。この壮大な昇華の仕方、「あ~アメコミ読んでるわあ!」て感じです。
とてもおもしろかった!■個人的推しポイント
ところで僕はこの、ちょいちょいマーベル世界で出てくる「未来は一番高い可能性を演算すれば視れる」という設定がほんとに大好きです。かっこいいなあ。