ジョナサン・ヒックマン (著), ヴァレリオ・スキーティ (イラスト), ステファノ・カセッリ (イラスト)
インフェルノあらすじ引用(引用元:上記リンクページより)
評議会の意に反して、最愛の妻・デスティニーを秘密裏に復活させたミスティーク。
予想外の事態に警戒心をあらわにしたのは、ミュータント滅亡を阻止するべく転生を繰り返してきたモイラ・マクタガートだった。
モイラ、そしてプロフェッサーX、マグニートーはミュータントの未来のために、ミスティークたちを排除しようとするが……。
ミュータント同士の争いがこれまでにないほど激化し、楽園クラコアが地獄の業火に焼かれる!
『 ハウス・オブ・X /パワーズ・オブ・X』から続くX-MEN サーガ第一部がついに完結!
■感想
ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X から続く物語の終焉です。
この一連の物語は、新たなミュータント達の立場を描くとともに、「モイラの物語」でした。
登場こそほとんどしなくとも、彼女の存在が常に裏にありました。
しかし、ここでついに、デスティニーの復活を何度も拒まれたミスティークの反逆です。
これまでは、彼女がうまく使われる様子が描かれてきましたが、今回は彼女のほうが一枚上手でした。
モイラの存在と彼女から見せられたいくつもの未来をどうにかすべく動きながらも、誰にもそれを話していたなかったマグナスとエグゼビアが痛手を追います。
彼らも決して悪意を持ってではなかったはずですが、少し考え方が古かったのかもしれません。
自分達だけで何もかも背負おうとしすぎ、そしてそれが傲慢に映ってしまったゆえの結果。
しかし、ダグの存在によって未来が不確定に。
彼がウォーロックのことを隠していたのはこれを隠すためだったと思われます。
誰かが死んだ、というわけではないにもかかわらず、ほんのりと後味の悪さが残る物語でした。
面白くなかったわけでもなく、消化不良というわけでもなく、完成はされていました。ただ「ハッピーエンドではなかった」という感じです。
モイラは追放され、ニムロッドの脅威も残ったまま、評議会には不穏な者たちが座り、秘密を共有してゆく。
「不確定がこれからも続いていく」というのは現実と同じ、これがリアリティと呼ぶものなのかもしれません。
信頼できる人物として描かれながらもどこか裏がありそうなコロッサスについても、今後の展開が待たれます。