J. M. デマティス他 (著), ジョン・ロミータJr.他 (イラスト)
スパイダーマン:クローン・サーガ あらすじ引用(引用元:上記リンクページより)
スパイダーマンの宿敵ジャッカル(マイルス・ウォーレン)によって生み出されたピーター・パーカーのクローンは、己の実存に苦悩していた。
自分が持っている記憶や人格は、すべてピーター・パーカーのものであり、自分は何者でもなく、存在すらしない人間である、という事実を突きつけられたからだ。
自暴自棄になった彼は、自らの命を終わらせるための旅に出るが……!?
90年代に賛否両論を巻き起こし、今なお伝説として語り継がれる問題作『クローン・サーガ』。その日本語版が満を持して登場。
これを読まずして、スパイダーマンを語ることなかれ!
■感想
とにかく濃いです。濃過ぎました。
解説書によると、制作体制がかなり混沌としていた影響でスパイダーマン系列の物語もごちゃつき、先行きが見えない中で二転三転しながら行き当たりばったりな展開に賛否両論はあったようですが
こうして、良いところだけまとめて見ると、非常に濃く面白いエピソードだと思いました。
読んでいる途中はたしかにやや迷走を感じる流れはあったのですが、読み終わって思い返してみるとそれもまた感慨深く。
これはスカーレット・スパイダー(ベン)の人生の物語なのかもしれない。
どちらが本物でどちらがクローンであろうとも、根本の倫理観に同じものを感じ、やっぱりスパイダーマンはかっこいいなとあらためて感じました。
個人的にはドックオックの活躍が良かったです。捨て身の人工呼吸。
スパイダーマンに登場するヴィランは数多いですが、なんだかんだで困ったときに一番助けてくれてるのってドックオックな気がします。
彼のプライドの高さゆえの、万全のピーターに戻してから勝たねば意味がない、というような信念が敵ながらかっこいいです。
かなり分厚く、内容的にも量的にも大満足の一冊です。