スパイダーマン:レイン■感想
冒頭からしんどすぎて読むのに気合が必要でした。
愛する人を失い、大いなる責任を放棄したピーター。
彼は一般人として生きていますが、その姿は衰え、仕事も失い、ひとりで薄暗いアパートに住んでいます。
街に超人的な能力を持ったヒーローやヴィランの存在はありません。
10年間、超人能力者による犯罪が行われていない、という実績はありますが
その代償として厳重な警備体制がしかれ、人々の行動は見張られており自由はありません。
そこから物語が始まっていく作品です。
若く元気な時の姿を知っているがゆえに、老人になって弱弱しい姿を見るのがつらい。
ヒーローであっても、心は人間。
つらいできごとがありくじけてしまうことはあるでしょう。
それでも最後には必ず立ち上がる……というのがお約束ですが、
今回はあまりに長い時間、あまりに多くの犠牲が出てからになってしまいました。
作中に登場する思い出のMJがまだ若いところを見るに、ピーターがヒーローをやめたのは30代頃でしょうか。
現在の老人の姿から推測すると、今回、再びヒーローとして立ち上がるまでに数十年の月日が経過していそうです。
作中でも、かつての仲間、敵、見知らぬ市民を含め、犠牲も多い。
それだけの犠牲を目にしないと再び立ち上がらない=それだけの覚悟でヒーローをやめた、ということなのかなと考えてしまいます。
おなじみのヴィランも複数登場します。
彼らの役割にも納得でした。ドックオックやサンドマンはやっぱり味方側なんだな。
全体的に退廃的なくらいアートと物語なのですが、最後には希望も見え、面白かったです。