マーベルグラフィックノベルコレクション■感想
57号はデアデビル:ガーディアン・デビル。
テーマは信仰、ということで、セリフの節々や物語の始まりは宗教的なものが絡むので、序盤はやや難解。
ですが中盤以降は信仰よりも人間のあり方について、というような感じで、キリストの教えがなじんでいない日本人でも、物語としてはとてもおもしろく読めました。
今回の黒幕はミステリオことクェンティン。彼の今回の犯罪動機は、創作者である自分からすると、かなり理解ができました。
悲しきかな、彼の芸術は他者の犠牲が無いとなりたたないものであるということが難点ですが、芸術にかける熱意は見習いたいところです。
また、カレンについても、読後に考えさせられることが多いです。
マットの正体を敵に売ったり、薬物にハマってしまったり、自ら出ていったにもかかわらず病気が発覚したからと言ってマットのところに戻ったり、どうしようもなく心の弱いところがある人物だと言わざるを得ないのですが、彼女の最後や残したものを見ると憎めません。
むしろ自分の感情や欲求に素直だからこそ彼女の愛が本物なのだと信じることが出来、良くも悪くも、カレンはマットにとってあまりにも大きな存在なんだなと思わせられます。
そして最後にマットの心を救うスパイダーマン。
こういうとき、彼を救うのはやはりスパイダーマンか。
人間の本質を考えたくなる一冊でした。