ダン・スロット (著), クリストス・ゲージ (著), ピート・ウッズ (イラスト)
アイアンマン2020:ロボット・レボリューションあらすじ引用(引用元:上記リンクページより)
シビル・ウォーIIの戦いで昏睡状態に陥ったトニー・スタークは、複製した自身の肉体に精神を移植し、復活を果たす。
しかし、やがて彼は自分はオリジナルのトニーのシミュレーションに過ぎないのではないかとの疑念を抱き、苦悩するようになる……。
一方でトニーの義理の兄アルノは、現在のトニーの肉体は、アルノの会社の施設を利用して造られた以上、自社の所有物であると主張。
アイアンマン・アーマーを含むトニーの全てを奪い取った!
こうしてアルノが新たなアイアンマンを名乗る一方、全てを失ったトニーは何処かへと行方をくらますのだが!?
■感想
インビンシブル・アイアンマン:ザ・サーチ・フォー・トニー・スターク にて復活したトニーでしたが、あくまでそれは人工的な肉体を得ただけで、自分は人間では無いのでは……? むしろ、肉体を持ったAIなのでは? と思い悩む。
はたして「自分は人間なのか、ロボットなのか、どちらか?」という話です。
人間の思考だって電気信号ですから、機械との違いなど無く悩む必要は無い、と個人的には思うのですが。
ましてや作中のAI達は皆、自我と感情を持ち、仲間を思いやって共同生活を送っている。
人間と彼らは、身体が肉か機械かだけの違いしかないように見えます。むしろ人間よりも人間らしいほどです。
彼らがただの機械でしかないのなら、では片腕を義腕にした人は? 両腕なら? 両足までいくと? 一体どれだけが機械に置き換わったら人間でなくなるのでしょうか。
そのようなことを考えさせられる深いテーマながら、終盤で突然に展開が大味になって、「そういう作品か」と思いきや、もう一段階のどんでん返しはまったく予想できませんでした。
中盤、
インビンシブル・アイアンマン:ザ・サーチ・フォー・トニー・スターク でロディを生き返らせたことを完全に棚にあげ、アルノが両親を生き返らせたことについて、「一線を越える」というようなことを言ってトニーがアルノを批判する場面があります。
その倫理観はある上でロディを生き返らせたのは、トニーにとってロディがそれほど重要だったからなのか、もしくは、一度やってしまったからこそ倫理観が生まれたのか、考えると興味深く思います。
アルノという人物の結末、それと、今度こそトニーが完全復活という区切りとなる一冊でした。